「最近よく聞く“サステナブルワイン”、チリも本気で取り組んでいるって本当?」
「でもフランスやアメリカ、オーストラリアと比べて、何が違うの?」
そんな疑問を持つ方に向けて、この記事ではチリのサステナブルワインが“世界基準”と呼ばれる理由を、前編・後編と2つの記事で、やさしく解説していきます。
📌 前・後編の記事を読むとわかること
前編 👈この記事
- なぜ今“サステナブル”が注目されているのか?
- チリの取り組みの特徴
- 世界の主要産地(フランス・アメリカ・オーストラリア)との違い
- 世界でどう評価されているのか?
- どんな課題を抱えながら未来に向かっているのか?
1. なぜ今、“サステナブルワイン”が注目されているのか?
「サステナブルワイン」という言葉、ここ数年で一気に広まりました。
その背景には、単なるトレンドでは終わらない“ワイン産地の危機”と、“飲む人の意識変化”があるんです。
🍇 地球温暖化が、ワインづくりを直撃

気候変動によって、ブドウの生育が不安定になっている地域が世界中で増加しています。
- 早すぎる開花 → 霜害リスク
- 猛暑や干ばつ → 酸が抜けて味がボヤける
- 雨の急増 → カビや病気の蔓延
たとえばフランスでは、かつて「温暖で安定」とされていた地域でも、ヴィンテージ差が激化し、生産者は対応に追われています。
そんな中、ブドウ畑の環境を守り、持続可能な栽培に取り組む“サステナブル農法”が、世界中で注目されているんです。
🌍 ワインを飲む人の意識が変わってきた

かつてワイン選びの軸といえば、「味」や「価格」が中心でしたよね?
でも今はそこに、“環境へのやさしさ”や“生産者の姿勢”が加わってきています。
特に、30〜40代のミレニアム世代やZ世代を中心に、
- 「どう作られたワインか」
- 「地球や人に負担をかけていないか」
- 「その土地とちゃんと向き合ってるか」
といった価値観ベースの選び方が広まりつつあります。
🧭 世界では「認証制度」もどんどん整備中

EUでは「ファーム・トゥ・フォーク戦略」など環境政策が加速。アメリカでは「ナパ・グリーン」や「LIVE認証」など、地域ごとのサステナブル認証制度が急増。
つまり今、「サステナブルに向き合わないと、世界の舞台には立てない」時代になってきているんですね。
2. チリのサステナビリティはどこがすごい?
「サステナブルに取り組んでるワイナリーって、どこの国にもあるんじゃないの?」
そんな中でも、チリが“特別”だと言われる理由があります。
それは、単なる“個別の取り組み”ではなく、国ぐるみ・業界ぐるみで取り組んでいるという点なんです。
🇨🇱 業界全体が“同じ基準”で動いている

チリには、Wines of Chileが運営する独自のサステナブル認証制度があります。
しかもこの制度、単なるチェックマークではなく、ブドウ栽培からボトル詰めまで、すべての工程をカバーする設計。
- 農薬や水の使用だけでなく、
- 労働環境、地域社会への配慮、輸送方法まで、
- 「環境・社会・経済」の3つの柱で評価
つまり、“地球にも人にもやさしいワインづくり”を、本気で仕組みにしているんです。
💰 安旨だけじゃない、「コスパ×サステナブル」の両立

チリといえば「コスパ最強」のイメージが根強いですよね。でも実は、価格を抑えながらサステナブルにも真剣に取り組んでいる点で、他国とは一線を画しています。
たとえば、
- 水資源が限られた土地で、精密灌漑による節水栽培を徹底
- 太陽光を活用したエネルギー自給型ワイナリーの登場
- 大規模輸出国ならではのサプライチェーン全体での管理体制
これらは、中小ワイナリー単位ではなかなか難しいことなんです。
チリではそれが「国と業界が手を取り合う」ことで、持続可能なコスパワインを実現しています。
🔄 サステナブルの“循環型モデル”を構築している

もうひとつ注目なのが、チリの考える「サステナブル=一方通行じゃない」という姿勢。
たとえば、
- 地域の森や川との共生
- 地元の雇用や教育を支えること
- ワインづくりを通じて自然と社会がつながる構造をつくること
これらを含めて評価するのが、チリのサステナブル認証の特長でもあります。
「ただ環境に配慮する」ではなく、「人と自然が共に豊かになる仕組みを作る」——
それが、チリが世界でも注目されている理由なんです。
3. 世界のワイン産地と比べてどう?

チリがサステナビリティに力を入れているのはわかったけど、「じゃあ他の国と比べてどうなの?」と気になりますよね。
ここでは、フランス・アメリカ・オーストラリアといった主要産地と比べながら、チリの特徴を整理してみましょう。
🌿 世界の主要ワイン産地との比較【早見表】
国 | 主な認証制度 | 特徴と方針 | チリとの違いポイント |
---|---|---|---|
チリ | Wines of Chile認証 | 国主導・業界全体で統一基準を策定 | 生産・輸出・評価まで一貫して管理可能 |
フランス | HVE, Terra Vitis, ABなど | 地域差あり/国主導でなく農家判断が中心 | 国家主導ではないため制度が分散傾向 |
アメリカ | Napa Green, LIVE, SIPなど | 州・地域単位で細分化されている | 多様だが、全国統一の枠組みは弱め |
オーストラリア | Sustainable Winegrowing Australia(SWA) | トレーサビリティとIT管理が進む | 技術導入は先進的/輸出国として競合 |
🇫🇷 フランス:伝統と“多様性”のサステナブル

フランスではHVE(Haute Valeur Environnementale)などの認証制度があります。が、国主導というより農家や地方ごとの判断に任されている側面が強いです。
そのため、進んでいる地域と、まだこれからの地域の差が大きく、「制度の統一感」には課題ありとも言えます。
🇺🇸 アメリカ:地域ごとにバラバラ。でも先進的

アメリカでは、ナパ・グリーンやLIVE、SIPなど、地域ごとの独自認証が多く存在します。とくにナパ・ヴァレーでは生態系保全やエネルギー管理など、細かい項目をクリアする制度が整っています。
が、一方で全国共通の枠組みがなく、認知度もバラバラという課題も。
🇦🇺 オーストラリア:トレーサビリティとデジタル管理が進化中

オーストラリア SWA(Sustainable Winegrowing Australia)は、データに基づいた農業管理を重視しており、環境指標や水使用量、輸送まで細かくモニタリング。
まさに「スマート農業×サステナブル」の先端事例と言えます。
が、コストや技術導入のハードルが高く、大規模生産者が中心という印象もあります。
✅ チリの強み:制度の一貫性と“出口戦略”

他国と比べると、チリは「国・業界・生産者」が一体となって、制度設計→現場実践→対外発信(輸出・認証)までを一貫して進めている点が際立っています。
つまり、「作って終わり」じゃなく「伝えて売る」までがサステナブル戦略に組み込まれている。
ここが、チリのすごさなんです。
後編では、チリのワインが世界でどう評価されているのか? そして、どんな課題を抱え、未来にどんな可能性があるのかをじっくり見ていきます。
📎 続きはこちら 👉 チリのサステナブルワインは“世界基準”?【後編】|国際的評価とこれからの可能性をやさしく解説!
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世界とチリの比較編
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