現在、Limari Valleyは、チリ最高級のシャルドネの産地、そしてチリを代表する冷涼産地としての地位を確立しています。
Limari Valleyのぶどう & ワインの歴史を、ふりかえります。
概要
Limari Valleyのぶどう & ワインの歴史概要は、以下の通りです。
- 16世紀、ブドウ栽培のはじまり
- 17世紀、蒸留酒ピスコの主要生産地として発展
- 1990年代、新興ワイン産地として幕開け
- 2000年代、シャルドネ新興産地として世界で高く評価
- 2010年代、チリを代表する冷涼産地へ
では、詳細に…
16世紀、ブドウ栽培のはじまり
16世紀、スペインのレコンキスタ(=征服者)たちが、Limari Valleyへブドウを持ち込み、ブドウ栽培が始まりました。
1544年、北にある街ラ・セレナで、チリ初のブドウの苗を植えたレコンキスタたちが、南下してきて、Limari Valleyでもブドウの苗を植えたからでした。
もともと、乾燥 & 降水量が少ない & 強い日差し、さらに昼夜の寒暖差といったブドウ栽培にふさわしい気候。
さらにくわえて、先住民族Diaguita族がもっていた川の水を利用した灌漑技術で、ぶどう栽培が定着していきました。
ワインは、最初の目的であったキリスト教のミサ用ワインにとどまらず、ラ・セレナやサンティアゴなどの植民都市で消費されたり、ペルーへも輸出されたりしました。
なお、スペインから持ち込まれた主なブドウは、以下の品種です。
- País
- Moscatel
- Torontel
というわけで、16世紀、スペインのレコンキスタ(=征服者)たちが、Limari Valleyへブドウを持ち込み、ブドウ栽培が始まりました。
17世紀、ピスコ生産地として発展

17世紀になると、蒸留酒ピスコの主要生産地として発展します。
1641年、スペイン本国への貿易が規制がされ、ワインが輸出できなくなったので、ブドウを蒸留酒ピスコ用へ転用することになったからです。
もともと、乾燥 & 降水量が少ない & 強い日差し、さらに夜間は涼しいといったブドウ栽培にふさわしい気候だったLimari Valley。
17世紀には大規模ブドウ園が存在するほどに、発展していました。
Limari産ワインもふくめ、チリ産のワインはスペイン本国でも人気がありました。
そのため、スペイン本国でワイン生産者が、打撃を受けました。その対策として、1641年、スペイン本国が「チリおよびペルー産ワインのスペイン本国への輸入禁止」の貿易規制をしたのでした。
輸出先を失ったLimari産のブドウが、あふれました。
そこでLimari Valleyでは、ぶどうを、蒸留酒ピスコへ転用したのです。
さらに、ピスコ用ブドウの生産適地であったため、蒸留酒ピスコの主要生産地として、現在にいたるまで発展していくことになります。
というわけで、17世紀になると、蒸留酒ピスコの主要生産地として発展したのでした。
Limari Valleyは、ピスコ用ブドウの生産適地でもあったため、蒸留酒ピスコの主要生産地として、発展していくことになります。
現在でも、原産地呼称Pisco Limarí Valley D.O.として認定されています。
1990年代、新興ワイン産地として幕開け

1990年代、ブドウ栽培地の開拓ラッシュが、Limari Valleyにも訪れ、新興ワイン産地としての幕開けを、むかえます。
もともと乾燥 & 降水量が少ない & 強い日差し、昼夜の寒暖差といったもともとブドウ栽培に適したテロワール。
さらに加えて、冷涼気候 & 石灰質土壌という仏ブルゴーニュと似たテロワールであることが、わかったからです。
多くのワイナリーが次々と参入をはじめ、点滴灌漑技術、ステンレスタンクの導入、低温発酵技術の採用など、最新技術を導入していきました。
のちに、リマリの名を世界に広めた先駆的ワイナリーTabalíも、1993年に、ブドウ栽培開始します。
1990年代後半には、Concha y Toroなどの大手ワイナリーも、進出しはじめます。
というわけで、1990年代、ブドウ栽培地の開拓ラッシュが、Limari Valleyにも訪れ、新興ワイン産地としての幕開けを、むかえました。
1990年代、新興ワイン産地として幕開けをむかえる前は、Moscatel系品種のピスコ用ブドウが、多く栽培されていました。ワインの生産は限定的でした。
このころのLimari Valleyでのワイン用ブドウ栽培は、まだ生産量も低く、認知度も低かったため、試験的な栽培でした。
なお有望視されていたのは、以下の品種です。
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- ピノ・ノワール
- シラー
2000年代、シャルドネ新興産地として、世界で高く評価

2000年代、シャルドネの新興産地として、世界市場で高く評価されるようになりました。
世界最高のシャルドネを表彰するフランスの国際ワインコンクールChardonnay du Mondeなどで、Limariのシャルドネが、高評価を得たからです。
たとえば、以下のとおりです。
- Viña Casa Tamaya Tamaya Chardonnay 2003年
- 2004年 Chardonnay du Monde 金賞
- Tabalí Reserva Especial Chardonnay 2004年
- 2005年 Chardonnay du Monde 銀賞
というわけで、2000年代、シャルドネの新興産地として、世界市場で高く評価されるようになったのです。
Limari Valleyのポテンシャルに気がついたチリ最大のワイナリーConcha y Toroは、2005年、地元のピスコ生産協同組合の子会社を買収、Maycas del Limaríとしてのワイン生産も、開始しました。
2010年代、チリを代表する冷涼産地へ

2010年代、チリを代表する冷涼産地としての地位を、確立しました。
シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール、シラーを中心に、IWCやDWWAなどの国際コンクールなどで、世界的に高い評価を得るようになったからです。
結果、シャルドネは、「チリのブルゴーニュ」といわれ、チリの最高級シャルドネの産地としての地位を、確立しました。
また、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール、シラーも、世界で評価が高まっています。
- ソーヴィニヨン・ブラン:世界的レベルで、仏サンセールに匹敵。ハーブのニュアンス、クリスプな酸、豊かなミネラル感
- ピノ・ノワール:エレンガントで酸のしっかりしたスタイル
- シラー:北ローヌを彷彿させる果実味と黒コショウなどのスパイスのバランス
というわけで、2010年代、チリを代表する冷涼産地としての地位を、確立したのです。
IWCやDWWAなどの国際コンクールでの、一部の受賞歷を、掲載しておきます。
- シャルドネ
- 2016年 IWC 金賞
- Maycas del Limarí:Sumaq Reserva Chardonnay 2015
- 2019年 IWC 金賞 95点
- Undurraga:T.H. Chardonnay Limarí 2016
- 2016年 IWC 金賞
- ソーヴィニヨン・ブラン
- 2011年 DWWA 金賞
- Tabalí:Reserva Sauvignon Blanc 2010
- 2011年 DWWA 金賞
- ピノ・ノワール
- 2015年 DWWA 銅賞
- Tabalí:Tabalí PAI Pinot Noir 2014
- 2015年 DWWA 銅賞
- シラー
- 2014 DWWA 推奨
- Maycas del Limarí:Sumaq Syrah 2012
- 2014 DWWA 推奨
まとめ
ということで、Limari Valley ぶどう & ワインの歴史を、ふりかえりました。
- 16世紀、ブドウ栽培のはじまり
- 17世紀、蒸留酒ピスコの主要生産地として発展
- 1990年代、新興ワイン産地として幕開け
- 2000年代、シャルドネ新興産地として世界で高く評価
- 2010年代、チリを代表する冷涼産地へ
現在、Limari Valleyは、チリ最高級のシャルドネの産地、そしてチリを代表する冷涼産地としての地位を確立しています。
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