Limari Valley ぶどう & ワインの歴史

ワイン産地
AnonymousUnknown author, Public domain, via Wikimedia Commons

現在、Limari Valley(リマリ ヴァレー)は、チリ最高級のシャルドネの産地、そしてチリを代表する冷涼産地(クール クライメット)としての地位を確立しています。

Limari Valley(リマリ ヴァレー)のぶどう & ワインの歴史を、ふりかえります。

概要

Limari Valley(リマリ ヴァレー)のぶどう & ワインの歴史概要は、以下の通りです。

  1. 16世紀、ブドウ栽培のはじまり
  2. 17世紀、蒸留酒ピスコの主要生産地として発展
  3. 1990年代、新興ワイン産地として幕開け
  4. 2000年代、シャルドネ新興産地として世界で高く評価
  5. 2010年代、チリを代表する冷涼産地(クール クライメット)

では、詳細に…

16世紀、ブドウ栽培のはじまり

16世紀、スペインのレコンキスタ(=征服者)たちが、Limari Valley(リマリ ヴァレー)へブドウを持ち込み、ブドウ栽培が始まりました。

1544年、北にある街ラ・セレナで、チリ初のブドウの苗を植えたレコンキスタたちが、南下してきて、Limari Valley(リマリ ヴァレー)でもブドウの苗を植えたからでした。

もともと、乾燥 & 降水量が少ない & 強い日差し、さらに昼夜の寒暖差といったブドウ栽培にふさわしい気候。

さらにくわえて、先住民族Diaguita(ディアギタ)族がもっていた川の水を利用した灌漑技術で、ぶどう栽培が定着していきました。

ワインは、最初の目的であったキリスト教のミサ用ワインにとどまらず、ラ・セレナやサンティアゴなどの植民都市で消費されたり、ペルーへも輸出されたりしました。

なお、スペインから持ち込まれた主なブドウは、以下の品種です。

  • País(パイス)
  • Moscatel(モスカテル)
  • Torontel(トロンテル)

というわけで、16世紀、スペインのレコンキスタ(=征服者)たちが、Limari Valley(リマリ ヴァレー)へブドウを持ち込み、ブドウ栽培が始まりました。

17世紀、ピスコ生産地として発展

Felipe Menanteau, Public domain, via Wikimedia Commons

17世紀になると、蒸留酒ピスコの主要生産地として発展します。

1641年、スペイン本国への貿易が規制がされ、ワインが輸出できなくなったので、ブドウを蒸留酒ピスコ用へ転用することになったからです。

もともと、乾燥 & 降水量が少ない & 強い日差し、さらに夜間は涼しいといったブドウ栽培にふさわしい気候だったLimari Valley(リマリ ヴァレー)

17世紀には大規模ブドウ園が存在するほどに、発展していました。

Limari(リマリ)産ワインもふくめ、チリ産のワインはスペイン本国でも人気がありました。

そのため、スペイン本国でワイン生産者が、打撃を受けました。その対策として、1641年、スペイン本国が「チリおよびペルー産ワインのスペイン本国への輸入禁止」の貿易規制をしたのでした。

輸出先を失ったLimari(リマリ)産のブドウが、あふれました。

そこでLimari Valley(リマリ ヴァレー)では、ぶどうを、蒸留酒ピスコへ転用したのです。

さらに、ピスコ用ブドウの生産適地であったため、蒸留酒ピスコの主要生産地として、現在にいたるまで発展していくことになります。

というわけで、17世紀になると、蒸留酒ピスコの主要生産地として発展したのでした。

Limari Valley(リマリ ヴァレー)は、ピスコ用ブドウの生産適地でもあったため、蒸留酒ピスコの主要生産地として、発展していくことになります。

現在でも、原産地呼称Pisco Limarí Valley D.O.として認定されています。

1990年代、新興ワイン産地として幕開け

Happynerd, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

1990年代、ブドウ栽培地の開拓ラッシュが、Limari Valley(リマリ ヴァレー)にも訪れ、新興ワイン産地としての幕開けを、むかえます。

もともと乾燥 & 降水量が少ない & 強い日差し、昼夜の寒暖差といったもともとブドウ栽培に適したテロワール。

さらに加えて、冷涼気候 & 石灰質土壌という仏ブルゴーニュと似たテロワールであることが、わかったからです。

多くのワイナリーが次々と参入をはじめ、点滴灌漑技術、ステンレスタンクの導入、低温発酵技術の採用など、最新技術を導入していきました。

のちに、リマリの名を世界に広めた先駆的ワイナリーTabalí(タバリ)も、1993年に、ブドウ栽培開始します。

1990年代後半には、Concha y Toro(コンチャ・イ・トロ)などの大手ワイナリーも、進出しはじめます。

というわけで、1990年代、ブドウ栽培地の開拓ラッシュが、Limari Valley(リマリ ヴァレー)にも訪れ、新興ワイン産地としての幕開けを、むかえました。

1990年代、新興ワイン産地として幕開けをむかえる前は、Moscatel(モスカテル)系品種のピスコ用ブドウが、多く栽培されていました。ワインの生産は限定的でした。

このころのLimari Valley(リマリ ヴァレー)でのワイン用ブドウ栽培は、まだ生産量も低く、認知度も低かったため、試験的な栽培でした。

なお有望視されていたのは、以下の品種です。

  • シャルドネ
  • ソーヴィニヨン・ブラン
  • ピノ・ノワール
  • シラー

2000年代、シャルドネ新興産地として、世界で高く評価

ヴィルチュアCC BY-SA 3.0、ウィキメディア・コモンズ経由

2000年代、シャルドネの新興産地として、世界市場で高く評価されるようになりました。

世界最高のシャルドネを表彰するフランスの国際ワインコンクールChardonnay du Monde(シャルドネ・デュ・モンド)などで、Limari(リマリ)のシャルドネが、高評価を得たからです。

たとえば、以下のとおりです。

  • Viña Casa Tamaya(ヴィーニャ・カーサ・タマヤ) Tamaya Chardonnay 2003年
    • 2004年 Chardonnay du Monde(シャルドネ・デュ・モンド) 金賞
  • Tabalí(タバリ) Reserva Especial Chardonnay 2004年
    • 2005年 Chardonnay du Monde(シャルドネ・デュ・モンド) 銀賞

というわけで、2000年代、シャルドネの新興産地として、世界市場で高く評価されるようになったのです。

Limari Valley(リマリ ヴァレー)のポテンシャルに気がついたチリ最大のワイナリーConcha y Toro(コンチャ・イ・トロ)は、2005年、地元のピスコ生産協同組合の子会社を買収、Maycas del Limarí(マイカス・デル・リマリ)としてのワイン生産も、開始しました。

2010年代、チリを代表する冷涼産地へ

Pietrablanca, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

2010年代、チリを代表する冷涼産地(クール クライメット)としての地位を、確立しました。

シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール、シラーを中心に、IWCやDWWAなどの国際コンクールなどで、世界的に高い評価を得るようになったからです。

結果、シャルドネは、「チリのブルゴーニュ」といわれ、チリの最高級シャルドネの産地としての地位を、確立しました。

また、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール、シラーも、世界で評価が高まっています。

  • ソーヴィニヨン・ブラン:世界的レベルで、仏サンセールに匹敵。ハーブのニュアンス、クリスプな酸、豊かなミネラル感
  • ピノ・ノワール:エレンガントで酸のしっかりしたスタイル
  • シラー:北ローヌを彷彿(ほうふつ)させる果実味と黒コショウなどのスパイスのバランス

というわけで、2010年代、チリを代表する冷涼産地(クール クライメット)としての地位を、確立したのです。

IWCやDWWAなどの国際コンクールでの、一部の受賞歷を、掲載しておきます。

  • シャルドネ
    • 2016年 IWC 金賞
      • Maycas del Limarí(マイカス・デル・リマリ):Sumaq Reserva Chardonnay 2015
    • 2019年 IWC 金賞 95点
      • Undurraga(ウンドゥラガ):T.H. Chardonnay Limarí 2016
  • ソーヴィニヨン・ブラン
    • 2011年 DWWA 金賞
      • Tabalí(タバリ):Reserva Sauvignon Blanc 2010
  • ピノ・ノワール
    • 2015年 DWWA 銅賞
      • Tabalí(タバリ):Tabalí PAI Pinot Noir 2014
  • シラー
    • 2014 DWWA 推奨
      • Maycas del Limarí(マイカス・デル・リマリ):Sumaq Syrah 2012

まとめ

ということで、Limari Valley(リマリ ヴァレー) ぶどう & ワインの歴史を、ふりかえりました。

  1. 16世紀、ブドウ栽培のはじまり
  2. 17世紀、蒸留酒ピスコの主要生産地として発展
  3. 1990年代、新興ワイン産地として幕開け
  4. 2000年代、シャルドネ新興産地として世界で高く評価
  5. 2010年代、チリを代表する冷涼産地(クール クライメット)

現在、Limari Valley(リマリ ヴァレー)は、チリ最高級のシャルドネの産地、そしてチリを代表する冷涼産地(クール クライメット)としての地位を確立しています。

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