カマンチャカ(冷たい海霧)が、もたらすテロワールとワインへの恩恵は、(ワインを構成する要素の1つ)酸をはぐくむ、冷涼環境です。
冷涼環境をもたらす理由は「霧が日射をさえぎるため、地表が温まらないため」です。
恩恵をうけているのは、チリ北部のウアスコ ヴァレー、エルキ ヴァレー 、リマリ ヴァレーの各沿岸部のワイン産地。
ソービニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、シラーなどの高品質ぶどうを育て、テロワール重視の高品質チリワインを生みだす大きな要因になっています。
カマンチャカとは

カマンチャカとは、チリ北部の太平洋沿岸で発生する冷たい海霧のことです。
- 未明に、チリ北部の沿岸で発生し、
- 風によって陸地へ移動し、
- 太陽が昇ると、陸地が暖められ、霧は蒸発して消える。
なお、午前10時~昼頃には晴れてくるのが一般的です。

気候変動によるチリでの水不足は深刻で、現在、カマンチャカ、つまり霧を集積し、飲料水をうみだすプロジェクトが生まれています。
カマンチャカができる仕組み

カマンチャカができる仕組みは、以下のとおりです。
- 冷たいフンボルト寒流に、
- 温かく湿った空気が流れ込み、霧になり、
- 風が、霧を沿岸に押し寄せる
もう少し具体的に説明すると、以下の通りになります。
- チリ沿岸には、南極から北上してくるフンボルト海流という非常に冷たい寒流が流れています。
- 一方、赤道からは、暖かく湿った空気が南下してきます。
- 湿った空気が冷たい海面の近くで急激に冷やされると、空気中の水蒸気が凝結し、微細な水滴=霧になります。これがカマンチャカです。
- 通常、チリの沿岸部には、海から陸へ向かう弱い風(特に夜間~早朝)が吹いています。この流れに乗って、霧を沿岸に押し寄せます。
カマンチャカという名称は、チリ北部のウアスコ、エルキ、リマリの各ヴァレーで発生する冷たい海霧のことを指すのが一般的です。
ただし、それらワイン産地以南のアコンカグア、サン・アントニオ、カサブランカなどの各ヴァレーで発生する冷たい海霧も、発生メカニズムは同じです。
冷涼環境とは?
ワインでの冷涼環境とは、(ワインを構成する要素の1つ)酸をはぐくむことができる冷涼環境のことです。クール・クライメットともいわれます。
具体的にいうと、生育期の平均気温が15〜17℃程度の地域を指し、朝晩は冷え、昼も暑くなりすぎません。そのため、熟成がゆっくり進み、酸がしっかり残るのです。
フレッシュでエレガントなワインが生まれやすいことが特徴です。
また熟度をコントロールしやすいので、「料理と合わせやすいワインをうみだす環境」として、現在、世界的な人気になっています。
冷涼産地の代表は、仏(シャブリ)、独(モーゼル)、NZ(マールボロ)などです。
発生地域でのワインの評価

カマンチャカ発生するチリ北部のウアスコ、エルキ、リマリの各ヴァレーでのワインの評価は、以下のとおりです。
まとめ

ということで、カマンチャカ(冷たい海霧)が、もたらすテロワールとワインへの恩恵は、(ワインを構成する要素の1つ)酸をはぐくむ、冷涼環境です。
冷涼環境をもたらす理由は「霧が日射をさえぎるため、地表が温まらないため」です。
恩恵をうけているのは、チリ北部のウアスコ ヴァレー、エルキ ヴァレー 、リマリ ヴァレーの各沿岸部のワイン産地。
ソービニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、シラーなどの高品質ぶどうを育て、テロワール重視の高品質チリワインを生みだす大きな要因になっています。
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