チリのサステナブルワインは“世界基準”?前編で、チリのサステナブルな取り組みは、フランスやアメリカとも違うユニークな特徴があることがわかりました。
では、その努力は世界でどう評価されているのか?
そして、どんな課題を抱えながら未来に向かっているのか?
この後編の記事では、チリワインの“今とこれから”を見据えながら、評価・課題・可能性をやさしく整理していきます。
📌 前・後編の記事を読むとわかること
- なぜ今“サステナブル”が注目されているのか?
 - チリの取り組みの特徴
 - 世界の主要産地(フランス・アメリカ・オーストラリア)との違い
 
後編 👈この記事
- 世界でどう評価されているのか?
 - どんな課題を抱えながら未来に向かっているのか?
 
4. 国際的な評価はどうなっている?
いくらチリが国内でサステナブルに力を入れていても、「世界的にちゃんと評価されてるの?」というのは気になりますよね。
結論から言えば──
チリのサステナブルワインは、国際的な評価の場でもしっかり認められています。
🏆 DWWAでの上位入賞が続々

世界最大級のワインコンペ「DWWA(デキャンター・ワールド・ワイン・アワード)」では、近年、チリのサステナブル系ワインがゴールドやプラチナを続々受賞しています。
- 受賞ワインの多くが、“サステナブル認証あり”
 - 特に冷涼地・高地・低介入スタイルが高評価されている
 - 価格帯別での審査制度により、3,000〜5,000円台のワインでも高評価多数!
 
つまり、「サステナブル=高級路線」だけではないところも魅力なんです。
📰 海外メディアでも“注目産地”として紹介

たとえば、英Financial Times(FT)やWine Enthusiast、Wine Spectatorなどの国際メディアでは、
- 「気候変動に最も適応している産地のひとつ」
 - 「“安旨”のイメージを覆す、価値重視のワインが増加」
 - 「サステナブルと味のバランスで新時代を切り開く」
 
といった記事が取り上げられており、チリの再評価が進んでいるのがわかります。
🌱 Green AwardsやB Corp認証でも評価

一部のチリワイナリー(例:エミリアーナやモンテスなど)は、
- Green Awards(環境評価型アワード)での受賞歴
 - B Corp認証(社会的・環境的責任企業)取得
 
など、第三者評価の分野でも注目度が上がってきています。
✅ 評価は「持続可能性 × 味 × メッセージ」の総合力

今のワイン市場では、「環境に配慮しているだけ」では評価されません。
- 味がちゃんとおいしいこと
 - 消費者にメッセージが伝わること
 - 持続可能性のストーリーに“リアルさ”があること
 
チリのサステナブルワインは、この3つのバランスが取れていることで、世界的な支持を得ているんです。
5. チリの課題と、今後の可能性
チリのサステナビリティは、世界的にも高く評価されています。でももちろん、課題がないわけではありません。
ここでは、今後に向けてチリが直面している“3つの課題”と、それをふまえて広がる「未来の可能性」について見ていきます。
⚠️ 課題①:小規模ワイナリーの参加率

Wines of Chileの認証制度は業界全体で進められています。一方で、小規模生産者や地方のワイナリーが制度に参加しきれていないという現実があります。
- 認証取得の手続きやコストが負担になる
 - 地域によって支援体制や情報格差がある
 - 「良い取り組みはしてるけど、証明できていない」ケースも多数
 
これが、チリ国内での“サステナブル格差”につながっているとも言えます。
🏠 課題②:国内市場での認知度はまだ低め

チリ国内では、輸出向けワインの品質や環境意識はどんどん上がっています。が、国内消費者に対する情報発信や啓蒙は、まだこれからという段階。
- 一般消費者にとって「サステナブル=選ぶ基準」になっていない
 - マークの意味や価値が伝わりにくい
 - 国内販売ワインの一部は未認証でも品質が高いことも
 
つまり、“外向きには強いけれど、内向きには届いていない”という状況なんです。
🌀 課題③:気候変動リスクはむしろ深刻

皮肉なことに、チリは気候変動に強い産地と評価されながら、実際には水不足や極端な乾燥、山火事のリスクにさらされている地域が増えています。
- メガドロート(長期的干ばつ)の継続
 - 南下による新産地開拓の必要性
 - 灌漑や高地栽培のさらなる革新が求められている
 
これからの10〜20年で、「適応力」こそがチリの未来を左右する要素になりそうです。
🌈 だからこそ、チリの未来は面白い

これらの課題をふまえても、チリには大きな可能性があります。
- 国と業界が連携して「本気で取り組む体制」がある
 - 新しい生産地(ビオビオやチロエなど)の開拓が進行中
 - 若い世代の醸造家たちが、サステナブルを“当たり前の基準”として育ってきている
 
今、世界中のワイン産地が「持続可能なモデル」を模索している中で、チリはそれを“現実的に形にしようとしている数少ない国”なんです。
だからこそ──
チリワインを選ぶということは、未来に寄り添う選択でもあるのかもしれません。
6. 【もっと知りたい方へ】制度の中身やマークの見分け方はコチラ!

ここまで読んでくださったみなさんは、「チリって、けっこう本気でサステナブルに取り組んでるんだな」
と感じていただけたのではないでしょうか。
でも実際にワインを選ぶ場面では、こんな疑問が出てくるかもしれません。
- 「サステナブル認証って、ラベルにどう表示されてるの?」
 - 「オーガニックとの違いって、どう理解すればいいの?」
 
そんなときに役立つのが、こちらの記事です👉【チリワインのサステナブル認証とは?】仕組みと背景をやさしく解説!
この記事では、以下のような情報をわかりやすくまとめています。
- 認証マークの見分け方・ラベルの位置
 - 実際に使われている“評価項目”とは?
 - オーガニックやビオとの違い
 
「知っててよかった!」と言ってもらえるガイドになっています。
🔁 あなたの1本が、“未来の1本”につながる

サステナブルワインは、特別な人のためのワインではありません。
“ふつうの1本”が、実はすごく未来志向だった——それがチリワインの面白さなんです。
これからのワイン選びに、ぜひ“サステナブル”という視点も加えてみてくださいね。
まとめ:チリは“未来と向き合うワイン産地”

ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございます!
チリのサステナブルな取り組みは、決して“あとづけの流行”ではないこと。
また気候変動や社会課題と真正面から向き合った“戦略と覚悟のワインづくり”だということ。
そのことが見えてきたのではないでしょうか?
- コストと品質の両立
 - 業界全体での連携と認証制度
 - 世界的な評価と、未来に向けた挑戦
 
これらが揃っているからこそ、チリワインは“選ばれる理由”があるんです。
サステナブルという言葉は、ちょっと硬く感じるかもしれません。
でも実際には、「このワイン、美味しいな」から始まる1本が、生産地の森や水、人びとの生活を守る力になることもあるんです。
気取らず、でもちょっと意識して選ぶ——
それだけで、ワインがもっとおいしく、意味のある存在に感じられるかもしれません。
🔙 前編はこちら👇
🔗 この記事は「チリのサステナブルワイン」シリーズの一部です!
A. はじめてでも体系的に
① STARTガイド → ② “11の約束” → ③ おいしさ → ④ 現地レポ → ⑤ 世界前編 → ⑥ 📄 このページ 世界後編 → ⑦ Q&A
B. テイスティング重視で
① STARTガイド → ③ おいしさ → ② “11の約束” → ⑦ Q&A → ④ 現地レポ → ⑤ 世界前編 → ⑥ 📄 このページ 世界後編
C. 比較から理解する派
① STARTガイド → ⑤ 世界前編 → ⑥ 📄 このページ 世界後編 → ② “11の約束” → ④ 現地レポ → ③ おいしさ → ⑦ Q&A
  
  
  
  
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