【水が足りない!?】チリのワイナリーが“どんどん南下”している理由とは?(前編)

通が語るチリワイン

──「水不足」から始まる南下のストーリー

Hola(オラ)〜!チリワインなび管理人です🍷

最近、「チリのワイン産地が南へと広がっている」って聞いたことありますか?

実はいま、チリのワイナリーたちが “水を求めて”南へ南へと移動中なんです。きっかけは気候変動による“水不足”ですが、それだけじゃないんです。

この記事では、「なぜチリのワイナリーは南下しているのか?」という疑問に、水・気候・土壌・テロワールの視点からやさしく解説していきます!

📌この記事を読むとわかること

  • チリワインと「水」の関係、なぜ灌漑が必要なのか
  • チリ中部を襲った干ばつ「メガドロート」の影響
  • ワイナリーが南下を始めた背景とその理由
  • ビオビオ、イタタ、マジェコ、チロエなど南部の新注目産地

🌎 なぜ南へ?チリワインと“水”の深い関係

💧 水がなければ、ワインはできない?

ワイン用のぶどうは、基本的に乾燥した気候を好みます。

でも「乾燥=水がいらない」わけではありません。ぶどうの栽培には、適切なタイミングで適切な水を与えることがとても大切なんです。特にチリでは雨が少ないため、灌漑(かんがい)=人工的な水やりが重要な技術。

ところが最近、この“水やりのための水”がどんどん足りなくなってきているんです…!

⚠️ チリを襲う“メガドロート”って?

実はチリ北・中部では、2010年ごろから10年以上も干ばつが続く 「メガドロート(Mega Drought)」という深刻な気候現象が起きているんです。

もともと乾燥しやすい地域なのに、さらに雨が降らなくなったことで、ダムや地下水の水位も大幅に低下

ワイナリーの中には、100メートル以上も深く井戸を掘って水を確保しているところもあるほどです。

当然、ぶどう栽培にも大きな影響が出始めています。

『このままじゃ、理想的なぶどうが育たない…』

そんな危機感から、チリのワインづくりは新たな選択を迫られているんですね。

🧭 だから、南へ。

そこで注目され始めたのが、チリ南部の水が豊富な地域なんです。

ビオビオやイタタなどは、年間1,000mm以上の雨が降るエリアもあり、自然の雨や川の水に恵まれていて、灌漑に頼りすぎなくても栽培できるという利点があります。

つまり、「水のある場所へ移動しないと、もうやっていけない」。それが、“南下”という選択の第一の理由なんです。

🗺️ チリ南部、注目のワイン産地マップ

では実際に、どんな場所へ“南下”が進んでいるのでしょうか?

ここからは、南に向かって広がる注目のワイン産地をざっくり紹介します。

📍 ビオビオ・ヴァレー

Albinfo, CC0, via Wikimedia Commons

ビオビオ・ヴァレー(Bío-Bío Valley)は、かつて“湿りすぎる”とされていた地域です。が、冷涼な気候を活かした高品質ワインが今や注目の的になっています。

  • 緯度:約36度(サンティアゴより約500km南)
  • 気候:太平洋からの風が涼しく、年間降水量は1,200mm超えとチリでは多め
  • 特徴:酸のきれいなソーヴィニヨン・ブランや、果実味あふれるピノ・ノワールが人気!

📍 イタタ・ヴァレー

MG4 2017, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

イタタ・ヴァレー(Itata Valley)は、チリ最古の産地とされる一方、長らく“時代遅れ”と見なされてきた場所。

でも最近は「古木パイス」や「火山性カリニャン」など、ナチュラル系&伝統回帰のトレンドで再評価が進んでいます。

  • 緯度:約36.5度(ビオビオと並ぶ位置)
  • 歴史:スペイン統治時代から続く超古木のぶどう樹が残る地域
  • 土壌:花崗岩+火山灰など多様。“ワイルドな味わい”を生む

📍 マジェコ・ヴァレー

Yiyo Zamorano, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

マジェコ・ヴァレー(Malleco Valley)。注目は、ベティッグ(Bettíg)の「ロス・パリエンテス」など、エレガントで緊張感のある白ワイン

「これがチリ産?」と驚かれることもしばしばです。

  • 緯度:約38度(南緯ではブルゴーニュと同程度)
  • 地形:標高300m超え+寒冷な空気+火山性土壌
  • 品種:**シャルドネ&ピノ・ノワール**が高評価。特にシャルドネは冷涼地スタイルの代表に!

📍 オソルノ・ヴァレー & チロエ島

Pi3.124, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

南半球の最南端クラスの産地オソルノ・ヴァレー(Osorno Valley)に、チロエ島(Chiloé)。

特にチロエ島は、かつて「ぶどうは育たない」とされていた場所。

しかしいまでは「温暖化の時代でも最後までぶどうが育つ土地」として研究が進んでいます。

  • 緯度:約40〜42度。南半球の最南端クラスの産地
  • 特徴:試験栽培が中心だが、冷涼&高降水量エリアとして期待されている
  • 話題:モンテスなどが実験的にぶどうを植え始めている注目エリア

📖 前編まとめ

チリのワイナリーが南を目指す第一の理由は、「水が足りない!」という切実な問題でした。

つまり、チリのワイン産地が“南へと広がる”背景には、深刻な水の問題と、それに立ち向かう生産者たちの挑戦があったんです。

この“水不足”に加え、温暖化による“暑すぎる”問題も重なり、いま注目されているのが「冷涼な地域でのぶどう栽培」なんです。

このあたりは、【後編】水不足以外の理由=冷涼地の魅力やワイナリーの戦略で、詳しく掘り下げています!

お楽しみに🍷

コメント

タイトルとURLをコピーしました