チリを代表するクール クライメットへ! Limari Valleyのテロワールを探る

ワイン産地
Cuenca-del-rio-limari, es:Luis Risopatrón, Public domain, via Wikimedia Commons

チリを代表する冷涼気候栽培地(クールクライメット)へ進化を遂げたLiamri Valley(リマリ ヴァレー)

シャルドネやソービニヨン・ブランは、IWCやDWWAなどの国際コンクールで受賞する世界レベルの品質で、プレミアムワインとしての地位を確立。

ピノ・ノワールやシラーも、そのあとに続いています。

Concha y Toro(コンチャ・イ・トロ)などの大手ワイナリーが続々参入しているLiamri Valley(リマリ ヴァレー)のテロワールを探ります。

基本データ

D.O.Limari Valley(リマリ ヴァレー)は、チリ北部のCoquimbo(コキンボ)州、Limari(リマリ)県にある、おおよそ南緯30°15′〜31°20′の低緯度に位置する渓谷に広がるワイン産地です。

北にアタカマ砂漠、東にアンデス山脈、西に太平洋沿岸を流れるフンボルト寒流があり、Limari(リマリ)川が中央を流れています。

Limari(リマリ)川以外にも、Hurtado(ウルタド)川、Grande(グランデ)川の支流も流れています。そして数十の小さな谷や峡谷で、Limari Valley(リマリ ヴァレー)を形成しています。

そのため渓谷は、Limari(リマリ)県のほぼ全域、南北に約80km、東西に約40kmの範囲の広大なエリアになっています。

渓谷一帯は、アタカマ砂漠の影響を大きく受けて、乾燥しているため、灌漑が欠かせない地域です。

なお、D.O.Limari Valley(リマリ ヴァレー)は、以下の3エリアに分かれています。

  • Costa(コスタ)(沿岸部)
  • Entre Cordilleras(エントレ コルディレェラス)(中央部)
  • Andes(アンデス)(アンデス山脈斜面)

※ 以下、Costa(コスタ)Entre Cordilleras(エントレ コルディレェラス)Andes(アンデス)で、表記します

気候、地形、土壌、主要な街について、補足します。

気候

Salala, S. Rae from Scotland, UK, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

Limari Valley(リマリ ヴァレー)の気候は、おおきく、以下の通りです。

D.O.エリア温・冷温度備考
Andes(アンデス)温暖 & 冷涼昼25〜30℃、夜10℃以下アンデス山脈の影響大
Entre Cordilleras(エントレ コルディレェラス)温暖 & ほどよく冷涼昼25〜30℃、夜10〜15℃アンデス山脈の影響小
Costa(コスタ)冷涼昼20〜25℃、夜10℃以下フンボルト寒流の影響

地形

Valle de Limari, David Stanley from Nanaimo, Canada, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

Limari Valley(リマリ ヴァレー)地形は、山岳地帯、なだらかな丘陵地帯、低標高の丘陵地帯、と大きく3つに、わけることができます。

D.O.エリア標高特徴
Andes(アンデス)400~800m山岳
Entre Cordilleras(エントレ コルディレェラス)200~500mなだらかな丘陵
Costa(コスタ)100~300m低標高の丘陵

土壌

Ovalle, Región de Coquimbo, geo.edgonzalez, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

Limari Valley(リマリ ヴァレー)土壌は、石灰質土壌、砂質土壌、粘土質土壌、火山性土壌、花崗岩土壌、etc…と多様です。

おおまかに以下の通りです。

D.O.エリア土壌
Andes(アンデス)火山性
Entre Cordilleras(エントレ コルディレェラス)砂質、粘土質、石灰質
Costa(コスタ)石灰質、砂質

Costa(コスタ)は、チリでも数少ない石灰質が豊富な土壌です。

仏ブルゴーニュを彷彿(ほうふつ)させる、ミネラル感とシャープな酸をもつ、世界レベルのシャルドネを生む要因になっています。

主要な街

Ovalle Air Feb 19, Ivotoledo45, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

Limari Valley(リマリ ヴァレー)における、主要な街は、以下のとおりです。

標高D.O. エリア
Rio Urtado(リオ ウルタド)1,300mAndes(アンデス)
Monte Patria(モンテ パトリオ)1,200mAndes(アンデス)
Punitaqui(プニタキ)369mEntre Cordilleras(エントレ コルディレェラス)
Ovalle(オバジェ)215mCosta(コスタ)

なお、Ovalle(オバジェ)は、Limari(リマリ)県の県都です。

では、Limari Valley(リマリ ヴァレー)のテロワールに、大きな影響をあたえている以下の要素を補足していきます。

  • 南緯30〜31°
  • アタカマ砂漠
  • フンボルト寒流
  • 途切れる海岸山脈
  • アンデス山脈

南緯30〜31°

Camino Combarbala-Ovalle. Region de Coquimbo., gaspar abrilot from Santiago, Chile, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

Limari Valley(リマリ ヴァレー)は、南緯30〜31°の低緯度です。

そのため、日差しが強いです。

さらに乾燥した気候と相まって、昼は、気温があがります。

南緯30°のイメージがつきづらい人は、(北緯になりますが、)エジプトをイメージしてください。かなり赤道に近いことがわかります。

アタカマ砂漠

Llano de Chajnantor from Cerro Toco., Ricardo Bustos, Public domain, via Wikimedia Commons

Limari Valley(リマリ ヴァレー)北側には、アタカマ砂漠が広がっています。

そのため、100〜200mmと非常に少ない低降水量で、乾燥したステップ気候となっています。

低降水量のため、Limari(リマリ)川をはじめとする河川からの点滴灌漑が必須です。

乾燥した気候は、昼は気温があがりやすく、夜は放射冷却で一気に冷える特徴があります。そのため、渓谷一帯は、日較差(=昼夜の寒暖差)が大きいです。

フンボルト寒流

Laguna La Cebada post tsunami de septiembre 2015, Panoramicus, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

Limari Valley(リマリ ヴァレー)西側にある太平洋には、フンボルト寒流がながれています。

フンボルト寒流は、非常につめたく、冷たい海霧(カマンチャカ)と、冷たい海風を発生させます。

そして、主にCosta(コスタ)に、冷涼栽培気候(クール クライメット)を、もたらしています。

フンボルト寒流は、非常に冷たく、水温10〜15℃。

南緯30°という、亜熱帯地域であるにもかかわらず、真夏でも海水浴ができない水温です。

途切れる海岸山脈

Vallée du Rio Limari, Bachelot Pierre J-P, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

Limari Valley(リマリ ヴァレー)では、チリ特有の海岸山脈が、途切れています。

そのため、西の太平洋を流れるフンボルト寒流が発生させる、冷たい海霧(カマンチャカ)と、冷たい海風が、Costa(コスタ)の渓谷奥深くまで、入り込みます。

海岸山脈は、Limari Valley(リマリ ヴァレー)の南に、一部存在しています。

Costa(コスタ)の南東の位置に、Entre Cordilleras(エントレ コルディレェラス)があります。Costa(コスタ)の東側は、すぐAndes(アンデス)で、隣接しています。

アンデス山脈

Happynerd, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

Limari Valley(リマリ ヴァレー)東側には、アンデス山脈がそびえています。

夜になると、アンデス山脈から、冷風「El Laco(エル ラコ)」が、吹きおろしてきます。

Andes(アンデス)Entre Cordilleras(エントレ コルディレェラス)で、大きな日較差(=昼夜の寒暖差)を生む要因の一つになっています。

まとめ

Cuenca-del-rio-limari, es:Luis Risopatrón, Public domain, via Wikimedia Commons

というわけで、チリを代表する冷涼気候栽培地(クールクライメット)へ進化を遂げたLiamri Valley(リマリ ヴァレー)のテロワールを探ってきました。

シャルドネやソービニヨン・ブランは、IWCやDWWAなどの国際コンクールで受賞する世界レベルの品質で、プレミアムワインとしての地位を確立。

ピノ・ノワールやシラーも、そのあとに続いています。

Concha y Toro(コンチャ・イ・トロ)などの大手ワイナリーが続々参入しているLiamri Valley(リマリ ヴァレー)は、注目のエリアの一つです。

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